enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2013.3.22

 読みかけの本を持って海に行く。今日はかすかに大島の影が見える。
 波打ち際では、そろって半ズボン姿の少女たちが遊んでいる。波に向かって一列に並び、一緒に飛び上がったりしている。はじけるように若い。 
 浜辺の小さな広場に置かれた石のモニュメントが春の陽ざしをためこんで温かそうだ。その陰にすわって海辺の読書をしてみる。
 1926年生まれの著者が1974年の時点でまとめた本。それなのに、2013年のこの瞬間、小さな本の中から楽しそうに話しかけられているような気持ちになる。気取りのない明るい人を想像する。
 つい最近まで11世紀、12世紀の世界にさまよっていたというのに、この本のなかで、国造の時代までさかのぼってワクワクしている自分がいる。
 帰り際、防砂柵のそばに小さな花が咲いていることに気がついた。昨日は目に入らなかった。
 大根の花に似ているだろうか。浜辺の花は久しぶりだった。
 帰り道、花の名が知りたくなって、友人に電話してみる。運よく待ち合わせることになった。撮った写真を見てもらうと、「ハマダイコンに似ている」という答えだった。名前に「浜」がついているのが、何だか嬉しかった。
 
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