昨日の午後、図書館に出かけた。
初夏の自然な風がそよと入る窓辺の机で、みな、静かにうつむいている。
今はなんと平和な季節だろうと思う。
世の中に不穏な流れが姿を顕わしはじめる時代というのは、いつもこんなふうなのだろう。
そんな漠とした不安がよぎるくらいに、図書室には静かな時間が流れていた。
夕方、図書館を出る。
公園の石畳の道で、それは綺麗な落ち葉を拾った。
その複雑な色合いをちょっとながめ、ファイルに挟んだ。
今朝まで、その落ち葉のことをすっかり忘れていた。
ファイルから取り出した落ち葉には、すでに昨日の華やかな色彩の命はなかった。
命を終わっても綺麗な葉だ。
クスノキの初夏の落ち葉