enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2014.6.10

 思いきって東京に向かった。
 上野に着くと、ほどよい人出でホッとする。
 久しぶりに歩く公園。 カフェが増えている。
 深かった森が明るい。こんなに見通しがきくのか。
 上野の森に大きな人工的な手が加わったことが明らかだった。
 ともかくも、ようやく法隆寺展を見学するのだ。
 期待はひとえに「毘沙門天立像」だった。
 なのに、思わぬところで感じ入った。
 眼を凝らして魅入った「定胤和上像」(高村光雲 作)。
 『本当に貴方は木で作られているのですか?』と問いかけてしまう。
 そこに確かに「定胤」という人が坐っている、としか見えなかった。
 やはり、実際に出かけて観てみないと分からないものなのだな、と思う。
 「文欟木厨子」には星形鋲があった。
 「百万塔・陀羅尼」の文字はおもちゃのように愛らしく見えた。 
 幡の鮮やかな赤さに驚き、たどたどしい縫い目に親しみを感じた。
 そして「毘沙門天立像」も一見に如かずだった。 
 これほどに装飾的で繊細だったとは・・・。
 ことに、彩色の「赤」は火の色のような不思議な光りをもっていた。
(まるで像の足もとがガラスで作られていて、火の色が透けて見えるかのようだ。) 
 
 家に着くとだいぶ疲れていた。
 頭に痛みと熱が溜まっているように感じた。
 海に出かけた。
 
4線譜が刻まれた貝
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