3日、朝から金沢文庫に出かけて特別展を見学し、午後は講座に出席した。
展示を巡るなかで、思いがけなく、なつかしい仏さまたちに出会った。
それらは、横須賀市曹源寺の「十二神将立像」、伊豆山郷土資料館の(阿弥陀如来坐像と並ぶ)「両脇侍坐像」、かんなみ仏の里美術館の(阿弥陀如来坐像と並ぶ)「勢至菩薩立像」、そして鎌倉国宝館の「菩薩面」など。
なかでも、曹源寺の十二神将像は、お寺を初めて訪ねた2000年以来の再会であり、その頃の自分についても思い出すことになった。
しかし、その時に残った曹源寺の一番の印象は、古代寺院としての立地を確認したお寺、というものではなかった。一番の印象は、堂内の長押しほどの高さに(見上げるように眺めた記憶…)、古めかしい仏像群がずらりと並んでいたことだった。
初めて観る十二神将像というものが、不自然な位置に、所狭しと無造作に置かれている。小さな像は丁寧に造られ、それぞれが生き生きとした動きをもっている。お寺に伝わるそうした仏像群が、曹源寺の由緒そのものを保障しているように感じたことを覚えている。
それから18年後、今回の展示と講座を通して、その曹源寺の「十二神将立像」が、運慶や北条政子・源実朝ゆかりの”永福寺の薬師堂”に安置された十二神将像を縮小・模刻したもの、と推定する研究成果を知ることとなった。18年という歳月を経て、私のおぼろげな記憶に、最新の研究成果の光が射してよみがえったように感じた…長生きはしてみるものだと思った。
追記:
これからも、まだまだ新しい発見や研究成果が待ち受けていることを思うと、よどみ勝ちな心も波立ってくる。やはり、長生きはしてみるものなのかもしれない。
前日の2月2日の夕方の空:
朝がたは雪が舞っていた。夕方の空の色にはその名残りがあった。思わず、ふーっと深呼吸して、生き返ったような気持ちになった。