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私の第三十四夜をつづります。

大山道・鈴川近くの池状施設

  24日、伊勢原市の子易・中川原遺跡の現地説明会を見学した。大山道の合流地点でもあるこの地域では、新東名高速道路建設事業に伴う調査が今も継続中だ。
 子易・大坪遺跡で大型掘立柱建物(鎌倉~南北朝時代)、伊勢原市№163遺跡で石敷道状遺構(中世)、今回の子易・中川原遺跡(標高120m前後)では、池状窪地(池状施設)が検出されている。現説資料で「池状施設」とされているのは、土層堆積の様相から、人為的に水が溜められていたと判断されたからのようだ。
 池状施設の背後の山に明治期まであった「和銅安楽寺」も含めて、その寺院跡に面するような池状施設、また、周辺遺跡で発見された大型掘立柱建物や石敷道状遺構などが、中世にさかのぼって、どのような景観を展開していたのだろうか。今後の調査が楽しみな遺跡群だ。
 また、発掘調査の現場を訪ねる楽しみとは裏腹に、やがて、この安楽寺寺院跡を突き抜けるように、現代の新東名高速のトンネルが裏山を貫通する光景を想像して、やはり愕然とする思いがあった。否応ない開発によって、この大山道の景観に不可逆的な無残な痕跡が残されるだろうから。

安楽寺寺院跡が残る山裾の現場
(右手のトレンチでは、砂礫層と粘土層が交互に堆積しているとされる「池の堆積」層が見て取れる。山裾となる最奥部の階段状の調査部分では、礎石が出ている。トンネルの坑口部にあたるのだろうか。)
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ふりかえって南東部の伊勢原市域を望む(やがて高速道路となる現場だ。)
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