今年は春の終わりに再会することになった。
去年と同じように、連日、友人の車が活躍する。
”薄紅色”と白のハナミズキの花の街路を走り抜けた。
赤城の山塊に向かって走りながら、残雪の山並みを遠く眺めた。
散り始めた桜、満開の芝桜、咲き始めた藤の花を、次々に巡った。
歩くこと、バスや電車に乗ることしか知らないような私にとって、車での外出は新鮮だ。
世の中の人々は、こうして車で出かけ、観光をし、また食事をするものなのだ…。
二日間の見学予定のなかには、一之宮貫前神社もあった。
車を運転する友人が私の希望を採りいれてくれたのだ。
貫前神社は彼女が子どもの頃、家族で初詣をする神社だった。
「そこは変わっているのよ、参道が下り坂になっていて…」
友人は昔のわらべ歌を思い出しながら歌ってくれた。
確かに、そのお社は谷の底深く…という位置にあった。昏い谷の北斜面にご神木が昇り龍のように立ち、その南一直線上に本殿、拝殿、楼門などが並ぶ。
本殿の破風には雷様の絵が掲げられているという。
華麗な彩色のお社が、竜神や雷神に守られているように感じた。
本殿(南破風の東半部)に描かれた雷神図
神社の階段上の鳥居から見る市街地と山並み
帰宅後、友人が歌ってくれたわらべ歌について調べてみた。
続けて読んだ”一列談判”の歌詞も興味深いものだった。
21世紀の今作られたばかりの歌詞のように思えたから。
〽一列談判破裂して 日露戦争始まった さっさと逃げるはロシアの兵 死んでも尽くすは日本の兵 5万の兵を引き連れて 6人残して皆殺し 7月8日の戦いに ハルピンまでも攻め寄せて クロポトキンの首落とし 東郷大将万々歳 …
複雑な気持ちになる。
〽我が軍率いて勇ましく 首相安倍さん万々歳!
などという替え歌が作られそうな世の中になっているから。