enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2015.4.24

 去年6月、友人たちと富岡製糸場や高山社を訪れた。世界遺産決定前日というタイミングだった。
 今年は春の終わりに再会することになった。
 去年と同じように、連日、友人の車が活躍する。
 
 ”薄紅色”と白のハナミズキの花の街路を走り抜けた。
 赤城の山塊に向かって走りながら、残雪の山並みを遠く眺めた。
 
 散り始めた桜、満開の芝桜、咲き始めた藤の花を、次々に巡った。 
 歩くこと、バスや電車に乗ることしか知らないような私にとって、車での外出は新鮮だ。
 世の中の人々は、こうして車で出かけ、観光をし、また食事をするものなのだ…。
 
 二日間の見学予定のなかには、一之宮貫前神社もあった。
 車を運転する友人が私の希望を採りいれてくれたのだ。
 貫前神社は彼女が子どもの頃、家族で初詣をする神社だった。
 「そこは変わっているのよ、参道が下り坂になっていて…」
 友人は昔のわらべ歌を思い出しながら歌ってくれた。
 
〽一番はじめは一の宮
  二は日光中禅寺
  三は佐倉の宗五郎
  四は信濃善光寺
  五つ出雲の大社
  六つ村村鎮守さま
  …
 確かに、そのお社は谷の底深く…という位置にあった。昏い谷の北斜面にご神木が昇り龍のように立ち、その南一直線上に本殿、拝殿、楼門などが並ぶ。
 本殿の破風には雷様の絵が掲げられているという。
 華麗な彩色のお社が、竜神や雷神に守られているように感じた。
 見学を終えて急な階段を昇り、大鳥居の前に立つと、秩父の方向だろうか、青い山並みが望めた。富岡市には世界遺産のほかに、こうした一之宮もあったのだ。


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本殿(南破風の東半部)に描かれた雷神図

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神社の階段上の鳥居から見る市街地と山並み

 帰宅後、友人が歌ってくれたわらべ歌について調べてみた。
 続けて読んだ”一列談判”の歌詞も興味深いものだった。
 21世紀の今作られたばかりの歌詞のように思えたから。

〽一列談判破裂して  日露戦争始まった  さっさと逃げるはロシアの兵  死んでも尽くすは日本の兵  5万の兵を引き連れて 6人残して皆殺し 7月8日の戦いに  ハルピンまでも攻め寄せて  クロポトキンの首落とし 東郷大将万々歳  …
 
 複雑な気持ちになる。
〽我が軍率いて勇ましく 首相安倍さん万々歳!
などという替え歌が作られそうな世の中になっているから。