enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2016.1.27

 26日、鎌倉に出かけた。かつてサークルの仲間たちと調べた地点をもう一度確かめる必要があった。今日、何か新たに分かることもあるかもしれない。それだけでワクワクする。
 鎌倉駅は人であふれていた。まず名越方面に向かう。お寺を伝ってゆく細く古い道を選んだ。
 ほとんど人通りのないなか、ひとしきり調べて息をつく。ほっとした。まだ時間の余裕がありそうだった。安国論寺の門を何十年ぶりかにくぐってみる。手水舎には氷が浮かび、本堂の板敷に座れば冷気がしみいった。境内を掃き清めていた方が挨拶の声をかけてくださった。案内図を眺めて立ち止まっていたからだろう。若かった頃は、どのように境内を巡ったのか記憶がなかった。丁寧に教えていただく。
 順路に従って裏山に向かい、稜線に出た。昔、名越切通を越えた時と同じような風景が広がる。左手の切り立った崖下を電車が走ってゆく。右手の谷あいにはひっそりとした寺院空間が広がっている。21世紀と13世紀の時空を隔てているような稜線は、明るい展望台に向かっていた。ここからの眺望は初めてのはず…たぶん。

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安国論寺から見る相模湾…富士山は見えず、雪を残す丹沢の淡い山並みが望めた。

 下りの坂道で白い猫に出会う。挨拶をしたけれど返事はなかった。寺を出て、残る調査地点の大蔵~西御門へと向かう。予定していた調べ直し作業をすべて終えると、3時近くになっていた。もう、周囲の人々と同じようにそぞろ歩きを楽しめる時間だ。源平池を眺め、八幡様にお参りし、美術館の裏手を抜け、ゆっくり駅に向かった。

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桜にメジロ…境内の桜には、すでに見頃となっているものもあった。蜜を吸うメジロたちの動きは一瞬もとどまらない。

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幕を閉じる美術館の光と影①

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幕を閉じる美術館の光と影②

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幕を閉じる美術館の光と影③

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幕を閉じる美術館の光と影④…最後の展覧会の看板を撮影する人々も多かった。みな、名残を惜しんでいるのだと思う。松本竣介自身を描いたのだろうか、A.ランボーの面影と重なって見えた。