enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2016.3.9

 8日、木の実を拾いに外に出た。前日、近所の小さな駐車場に、その小さな実が落ちているのを見かけた。何の木の実だろう?と思った。駐車場と住宅の隙間に窮屈そうに枝を伸ばしている木は、すっかり裸で、黄色の小さな木の実を鈴のように残しているだけだった。
 駅近い駐車場に、やはり車は留まっていなかった。木の実を拾い上げてみると、黄色いリンゴを小さくしたような姿だった。王林、ゴールデンデリシャス、シナノゴールド…黄色いリンゴたちを思い浮かべる。手のひらの木の実はずいぶんと萎びていたけれど。
 家に帰って何の木の実か調べてみた。ようやく、センダン(楝)という木の実らしい、と分かった。古代は「あふち(おうち)」と呼んだこと、源義朝の首がさらされた木であったことも知った。
  『義朝・・・三宮輔仁親王も、義家と有綱女、法眼行恵・円暁を介して、義朝・頼朝父子とも袖振り合うことに…』 
 とりとめなく思いは時代をさかのぼっていった。古代、そうした忌まわしい情景にあった木と、あの黄色の鈴を懸けたような裸木の姿とはどうも重なってこない。そして、初夏に咲くという花、その紫色を見てみたいと思った。

センダンの木
イメージ 1
(「あふち(楝)」という木が梟首という凶々しいイメージと重なることを知ったためか、その木の実を間近に撮った写真が生々しいものに見えてくる(考え過ぎと思うけれど)。今の季節には、その枝ぶり、実のなり方を遠く眺めるほうがふさわしい気がした。)