20日夕方も図書館に向かう。昨日よりは長居をして、気がつくと5時をまわっていた。平日の図書館は遅くまで開館しているのだった。コピーを1枚撮って外に出る。少しだけ肌寒く感じた。
駅に向かう人々の流れに沿って夕方の街を歩く。ほとんどが勤め帰りの人々だろうと思う。遠い昔、私もそんな流れのなかをカツカツと無機質な音を立てて歩いていたことがあったように思う。その頃の胸の内のことはほとんど思い出せないけれど。
図書館近くで見かけた紫の小さな花…そばを通りかかった人も、「まぁ、可愛い…スミレかしら?」と一緒に覗き込む。家に帰り、花の名を調べた。”チリアヤメ”…あまりに幼く見える”チリアヤメ”の花の根を、きっと短く浅いもののように想像した。
「ほととぎす なくや五月の あやめ草 あやめも知らぬ 恋もするかな」
(よみびと知らず 『古今和歌集』)