enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2016.6.13

 12日、鎌倉市由比ヶ浜で開かれた現地説明会の帰り道、扇ガ谷をまわってから電車に乗ることにした。六地蔵で県道を外れ、北に向かった。
 行き着いた寿福寺のたたずまいは、観光地鎌倉のにぎわいを離れて、ごく閑かなものだった。鎌倉は不思議な町だといつも思う。鎌倉が抱く小さな谷々が、そのひだの中に、歴史の足跡を潜ませ、さりげなく育み続けているように思えるからだ。平安京の人工的な碁盤目状の町割りを残す京都市街の寺社を巡るとき、こんな風に感じたりはしないだろうと思う。
 寿福寺の外門から、敷石道に導かれ、奥へと進んでゆく。一帯の苔の緑がしっとりと、そして明るく輝いている。翅に黒い筋がかすかに入った白い蝶がふわりふわりと舞う。姿を追っても、どこにも留まってはくれない。ふと、たった今のこの時間から、義朝、義家、頼義の時間のかなたへと、遠く誘われたような気持ちになった。

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梅雨空のもとのササリンドウ紋(外門の屋根)

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仏殿のササリンドウ紋

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敷石道のアジサイ

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敷石道のムラサキカタバミ(?)

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敷石道のキノコ