南よりの風が吹きつけた18日。夕方になって海に向かう。
道々のサクラの樹冠は、夢見がちな桜色から、赤みを帯びた色合いになっていた。
サクラは短い夢から醒めてしまったのだな、と思った。
海に近づくにつれ、南風に海藻の生々しい匂いが混じってきた。
真新しくなった防砂柵を過ぎる。
一気に広がる荒れた海。
浜に打ち上げられた海藻が、点々と散らばる島々のように見える。
波消しブロックの内側には、意外な浅瀬が広がっていた。
これまで見たことがないほどに、汀線が引いているのだった。
風に突き動かされ、複雑に重なって押し寄せる波。
波裏は濁った深緑色をしていた。
轟々と響く波音。唸り続ける風。
なんと気持ちよい…。ちっぽけな心に溜まった滓が吹き飛ばされてゆく。
波と風の荒々しい音に閉じ込められて、波打ち際を行き来する。
渺渺とした南の洋上では、”夏”を生み出すエネルギーが渦巻き始めている…果てしなく押し寄せてくる波の向こうに、遥かな”夏の海”を夢見た。
4月18日の海①
4月18日の海②