enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2017.9.7

 昨日の朝、姪からの電話。
 「これから、すご~く美味しいものを届けにいきますから!」
 姪の声はいつものように笑っている。40代半ばになっても、小さい頃のつぶらな瞳のままの姪。

 届けられたのは”緑色のブドウ”。
 シャイン・マスカットという品種なのだという。朝早くに買い求めてきたという。
 
 私はブドウのなかでも、なぜか、緑色のブドウが一番好きだ。
 黒いブドウ、赤紫のブドウ、緑色のブドウのなかから、どれかを選ぶとしたら、迷わずに緑色のブドウ…。そして、緑色のブドウのなかでも、マスカットは一番特別な存在のように思い込んでいる。

 姪はそんなことを知るはずもないけれど、届いたのは緑色のブドウだった。
 「このブドウ、数が少ないらしくて。二週間で収穫が終わっちゃうんですって。」
 明るい声でそう言うと、オリーヴのように細い長身をひるがえし、手を振りながら帰っていった。

 私にはもったいない秋の恵み。
 もうマスカットの味を忘れかけていた。
 遠い記憶に残るマスカットの味を思い出せるかもしれない。

まだ食べていない緑色のブドウ
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このブドウを眺めていて、『一房の葡萄』を思い出した。あの葡萄は紫色。先生の美しさを際立たせるための”紫色の葡萄”だった。