enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2017.12.10

9日午後、友人と1か月ぶりに逢った。
逢ってすぐに、とても小さな紙袋を手渡された。
「畑で取ってきたばかり…ちょっと珍しいもの」と言う。
『何だろう?…とても軽い?』
ていねいにくるまれた包みをそっと開けてみる。

あらわれたのは、細い枝先に咲く薄いピンクの花だった。
五つの花は、肩を寄せ合うように頼りなげにしている。
そして、透き通った桜貝のような繊細な花びらには、さらに儚げな筋が走っている。

「十月桜?」
「アーモンド?」
(これまで間近にアーモンドの花を見たこともないのに、当てずっぽうに名前をあげてみる。)
友人の答えは「ヒマラヤ桜」だった。

ヒマラヤ桜…一度だけ、国会議事堂から山王坂を下ったところで、その名前の桜の花を見たことがあった。
ただ、そのヒマラヤ桜は、ずっと白い花びらだったように思い出す。

いつものように、友人との話はあてどなく漂い続けた。
旅の話、身近な死や老いの話、見つけたいのに見つからない目標の話…。
それでも、その時間は私を励ましてくれるものなのだ。

小さな紙袋をだいじに持ち帰って、ヒマラヤ桜の小枝を水に浮かべる。
切り取られたヒマラヤ桜の花びらは儚い…それでも今、生きている。

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