enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2017.12.11

10日午後、渋谷で「ルチア」を聴いた。
ホールで初めて「ルチア」を聴いたのは2011年3月5日…上野で15時開演だった。
そうだった。その約1週間後、あの大地震が発生し、津波が東北地方を襲った。
それからというもの、コンサートホールの暗闇に包まれ、音楽の波に身を委ねている時、こうした天上のような世界に浸っていて良いのだろうか…と思うようになった。

2017年の「ルチア」…抽象絵画のように構成された舞台は、前回聴いた舞台がそうだったように、ルチアの内面を映して陰影が濃い。
壊れてゆくルチアの心のあわれ。
対して、エドガルドのアリアは常に甘さをたたえている。
ルチアもエドガルドも、歌唱上でも、別々に歌いきって果ててゆく。
眼の前の生身の歌い手が歌に果ててゆく…そんなことを実感した「ルチア」だった。

コンサートホールのビルの窓飾り
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