enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2018.9.18

 夏の終わりの数日、北アルプスの麓を歩き回っていた時に、何度となく、自分は海辺で育ったんだな…と思う瞬間があった。
 青く連なる峰々の向こうに陽が沈もうとするにつれ、山塊が急に暗く広がって迫ってくるように感じながら、私はこういう風景を見ながら育ってこなかったと分かった。そして、ここには平塚の海は無いのだな、育ち、暮らしてきた場所ではないのだな、と思った。
 生まれてからこれまでの長い時間を経て、私の意識の底に海が広がってしまい、私の皮膚に海から吹き込む風が馴染んでしまい…それらは私の意識と一つながりであって、切り離された存在の私ではないことを何となく理解した。
 人は、それぞれの周りにそうした切り離すことのできない一つながりの何かをまとわりつかせながら暮らしているのかもしれない…などと思った。意識を形づくっている外付けの何か…その”何か”が、私の場合には”平塚の海や風”であるかのように思っているのだろう。

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9月18日の海

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9月18日の大島

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9月18日の月