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私の第三十四夜をつづります。

初夏の山野③河辺三内・岩谷山

 初めて秋田を訪れて、緑と水の豊かさを感じ続けた。『いいところだなぁ…』と思った。
 水田地帯の鮮やかな緑、それを囲む山々の深い緑、新緑の合い間を蛇行して見え隠れする清らかな川。とにかく自然の分量が大きい…と思った。
 旅の最後の日の朝、河辺三内の宿の前に座って景色を眺めていると、宿の人だろうか、「楽しかったですか?」と声を掛けられた。
 私もすぐに、初めての秋田を楽しんだこと、今朝、近くの岩谷山(いわやさん)に登り、その眺めの良かったことなどを答えた。宿の人はさらに「ここは秋もいいんですよ。山の紅葉も素晴らしくてね。それに、川下りしながら見上げる紅葉も、また格別なんです。これからは、そういう景色をカヌーで楽しんでもらえるといいなと思ってるんですよ…」と嬉しそうに話してくれた。

 『そうだろうな…秋もいいだろうな』 
 私の知らない土地、その季節…知らない世界ばかりなのだと、この年齢になってそれが良く分かる。

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キンラン(秋田市 河辺三内)

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6月1日の岩谷山(いわやさん)

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整備されている山道:
宿の人からは、「冬も雪が積もらないので長靴登山でも大丈夫な山」、「クマは一度も出たことは無いけれど、一人ではなく、2~3人で登ったほうが安心」、と聞いていた。

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ウラジロヨウラク? ウスギヨウラク?(岩谷山)

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岩谷山山頂:
私たちは山頂まで、音を出し続けて登った(これまで出たことが無いというクマを警戒して、山道で拾った枝で空き缶を鳴らしながら…)。結局、クマには会わなかった。山頂はあっけらかんと明るかった。後から登ってきた人と挨拶を交わし、カンカンと鳴らし続けて、さぞやうるさかったろうな…と申し訳なく思った。

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岩谷山展望台からの眺め

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フタリシズカ(岩谷山):

帰り道は、音を立てずに、二人静かに下った。


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タニウツギ(岩谷山)

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ササバギンラン秋田市 河辺三内):
キンランもササバギンランも林のなかでひっそりと咲いていた。