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巻第十七 雑三
996 さつきやみ 子恋の杜の ほとヽぎす 人知れずのみ 鳴きわたるかな
返し 大弐三位
997 ほとヽぎす 子恋の杜に 鳴く声は 聞く夜ぞ人の 袖もぬれけり
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歌人相模の歌(『相模集』78)に詠み込まれた「石田」の地名への疑問がそうだったように、「八幡の宮のことにかヽりて」についての疑問がずっと宙ぶらりんのままだった。
つまり、
*成務天皇陵の宝物を盗んだ(1063年3月)罪によって、伊豆配流(1063年10月)となった静範…その後、罪を赦される(1066年7月)…の父・藤原兼房が詠んだ歌(『後拾遺和歌集』996の歌)の詞書で、なぜ「八幡の宮」の語が出てくるのか?
という、宙ぶらりんの疑問について道草をしようと思ったのだ。