enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2016.9.5

 季節は、まだ夏にとどまろうとしたり、すでに秋へと進もうとしたり、一日のなかでも行きつ戻りつしている。
 
 3日、1年ぶりに富戸に出かけた。
 行きも帰りも頭痛薬が手放せなかった。薬を使っても、出かけたほうがよい。そう思うようになった。
 
 富戸の坂道は、いつもより、ゆっくり登った。
 駅からは、二つの急な坂を登る。折れ曲がった坂道の途中に、白樺の木が1本立っている。駅からは、そのすらりと優雅な姿を励みに登るのだ。そして、白樺の下にたどり着くと、いつもならば青い大島を眺めて息を整える。
 3日は、大島の影も形も無く、海と空の境も判然としなかった。
 気を取り直し、次の短い坂を登る。
 家で頭痛を抱えて過ごすより、ずっと晴れやかな疲れだ。
 自然のなかで呼吸する。肺と心臓と筋肉が主張を始める。意識の底に溜まっている滓を洗い流してくれるような気がした。

 富戸では虹も見た。大島が浮かぶ位置にかかる洋上の虹。
 夜は冷房も扇風機も使わずに眠った。
 朝は鳥のさえずりで目覚めた。 
 夏と秋の間の、つかのまの”休日”だった。

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富戸から見る虹

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虹・遠景

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坂道のヤマガラ(民家の庭先で)

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高室山東麓の手入れされた竹林