enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

八百屋の店先

 ついぞ客の姿を見たことのない八百屋
 店先に無造作に並べられたプラスティックのざるには
 いつもバナナだったり玉葱だったりトマトだったり
 
 店の一番の売り物はたぶん音楽
 人けのない店からはいつだって音楽

 ほら今日はボクサーだね
 胸がずきんとするよ
 
 そういえば店の奥は暗くてよく見えない
 乾いていて淋しくて
 ロビンソン夫人みたいだ