enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

陰惨な。

 竹橋のビルの前で、奇妙な象の帽子を被った白い人たちの姿を眼にして、車から流れてくる奇異な歌を聞いた。
 もうその時、陰惨な流れは姿を顕しはじめていたのだった。
 
 それから28年の時間が流れて、あの陰惨な事件の陰惨な最終章について陰惨なニュースが流された。
 その日は折りしも列島は激しい雨に浸されていた。
 そして、その雨の凶々しい濁った流れに、その陰惨なニュースも合流した。
 過去の陰惨な事件の陰惨な結末が下され、この現政権のもとでそのニュースが流された。
  
 しかし…何か、どこか、間違っているような苛立たしさはなぜなのだろう。
 この陰惨さはどこからくるのだろう。
 ざわざわとしたものをつらつら追いかけてゆくと、やはり突き当たるのだった。
 
 陰惨な思いの一日が、それでも明けた。
 どこに流されて行くというのか、私たちは。
 列島は濁流にひたっている。