竹橋のビルの前で、奇妙な象の帽子を被った白い人たちの姿を眼にして、車から流れてくる奇異な歌を聞いた。
もうその時、陰惨な流れは姿を顕しはじめていたのだった。
それから28年の時間が流れて、あの陰惨な事件の陰惨な最終章について陰惨なニュースが流された。
その日は折りしも列島は激しい雨に浸されていた。
そして、その雨の凶々しい濁った流れに、その陰惨なニュースも合流した。
過去の陰惨な事件の陰惨な結末が下され、この現政権のもとでそのニュースが流された。
しかし…何か、どこか、間違っているような苛立たしさはなぜなのだろう。
この陰惨さはどこからくるのだろう。
ざわざわとしたものをつらつら追いかけてゆくと、やはり突き当たるのだった。
陰惨な思いの一日が、それでも明けた。
どこに流されて行くというのか、私たちは。
列島は濁流にひたっている。