enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2016.4.12

 60代になって、私の頭の中のスポンジは固く収縮しはじめている。
 もともと偏っている嗜好・関心の幅もいよいよ狭くなりつつある。
 新しいことよりも、今まで通り。楽なのが一番。無理をするのはやめよう。こうして私も保守的で偏狭な老人になってゆく…そう思うことが多くなっている。
 で、昨夜、新しく始まったTVドラマをぼんやり見ていた。
 画面のなかで唐突に…観客にとって、ドラマの設定とは常に唐突なものだ…展開してゆくフィクションの世界に、いつもすんなりと入ってゆけるわけではない。年を取ってからはなおさらのように思う。
 それでも、その唐突な劇のなかに織り込まれた、かつての自分とのわずかな接点…たったそれだけのきっかけで、劇を見続けることもある。昨夜は、「500マイルも離れて」のメロディが流れてきたのがきっかけだった。
 PPMの曲に限らず、私が子供の頃に聴いた外国の音楽の大半は、TVから流れてくる音楽…リッキー・ネルソンやアンディ・ウィリアムスなど…か、年の離れた兄たちのレコードやテープを通して繰り返し聴いたものだった。
 ブラザーズ・フォア、PPM、ジョーン・バエズ。PPMのアルバムは一番聴いた。歌詞も自然に覚えた。
 昨夜見ていたドラマの”500マイル”のメロディは、生まれ育った家の出窓に置かれたオープンリール・デッキ、そこに射し込む光、日曜の晴れた朝の空気、10代の自分の漠然とした憧れ…そんなものまで思い出させてくれた。

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出窓の光線…この出窓の光には、窓の外へと誘うような眩しさはない。