紫のモクレンの花がいっせいに花開いた。
1日にはまだ、しっかりと硬いつぼみだった。
この季節に亡くなった母。
母が好きだった白モクレン。
天上の花。その白さと気高い香り。
春の光に花びらをささげるように咲いていた。
今日咲き切った紫のモクレン。
すでに散りはじめている。
散った花びらのそばで、猫が目をつむっている。
母が亡くなった春から16年もの時間が流れた。
この季節、あの白モクレンは、私の記憶の中だけで花開く。
3月19日の紫モクレン