enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2018.3.16

 ご近所の庭の紫モクレンが花色を覗かせはじめた。
 私の部屋のベランダのスミレも日に日に元気になってゆく。
 土と水と光というシンプルな環境で、それぞれが自分の季節のリズムを刻んでいる。つい、自分の毎日と引き比べてしまう。
 そして、私たちが生きる社会も、こんなふうにシンプルな生命の世界であったなら…と思う。
 その一方で、今私たちが持ち得ているものを全てを捨てて、紫モクレンやスミレとして生きることを選ぶ人間は、きっとどこにもいない…とも思う。
 
 私はいつからか、季節を生きる場所から、季節の移り変わりを眺めるだけの場所にひきこもるようになった。としても、物思う自由、さまよう自由をまだ手放していない。まだ、スミレのように生きてはゆけない。ベランダの小さな植木鉢で生きているスミレは、私のそんな自由からも自由に生きているのかもしれない。そして、私の自由は私だけの自由なのだ。

3月15日の雲(ペン先のような形? 「ペンは剣より強し」だ。)
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