9月最後の日…窓の外には明るすぎるほどの陽射し。
嵐のあとに、何事もなかったように、青空を見上げることができれば嬉しい。
晩夏の七日間も、遠出した上高地と戸隠の思い出をたどるだけとなった。
かつて1980年・1981年の2回ほど(たぶん…)、上高地を訪れたことがあった。
1回目の1980年5月は、徳本口から、斜面に積もったまぶしい雪に足を埋めながら、徳本峠まで登った。
思えば、あれから充分に長生きをしてきたのだ…。
そして37年後の8月、充分に年取ってから訪れた上高地の自然は、なお懐かしく、そしてなお魅力的だった。気高い峰々の姿を鮮やかに仰ぐことはできなかったけれど、梓川の光り輝く水に、蝶の優雅な振る舞いに、晩夏の穏やかな時間の流れを感じた。
栗のような色合いにコバルトブルーの縁取り。宝石のような輝きが扇形の広がりを強調している。私の近くを飛びながら、なぜか左手の甲に留まった。皮膚の上を動き回る間、時々かすかな痛みも感じた。汗をかきにくい私の手の甲に、蝶に吸ってもらうほどの水分は無いはず?
立て続けに出会ったサカハチチョウ:
本当に長い間、私の古く色褪せたウエストバッグでずっと休み続けた。繊細な命と一緒に歩きながら、嬉しいような、気がかりなような。
ミドリヒョウモン:
名前を知ると、どこが「ミドリ」?と思う。そういえば、翅の裏が淡い緑色だろうか?
ホタルブクロ(ヤマホタルブクロ?):
高麗山で見かけるホタルブクロとの違いが分からない…。
カツラ?のようなハート型の黄葉:
戸隠神社のカツラの大木は、その葉の匂いでそれと知らせてくれたのだけれど、こちらの木は?
コゲラ:
その大胆な縞柄は私の節穴の眼にも親しみのある意匠。岳沢湿原・明神池に向かう道(梓川右岸)沿いの林のなかで。
ゴイシシジミ:
何とシンプルで美しい羽! 出会う蝶がしだいに小さく高貴な姿になってゆく。
岳沢湿原~六百山:
水辺でカメラを据えている人の姿。限られた時間では、それは叶わない。ファインダーを通して風景を切り取る。名残り惜しく歩き出す。
赤い実:
茎も実と同じ色に。ガマズミならば果実酒ができるらしい。この実はどのような味なのだろう?
カケス:
思いがけなく近づいてくれたけれど、私の腕ではカケスらしい姿を捉えることができなかった。かろうじて、”目つき”がカケス?
サラシナショウマに留まるヒメキマダラヒカゲ:
河童橋から見る焼岳:
さようなら梓川。いつかまた、この地を訪れることができるだろうか。