先日、思いもかけない美しい本が届いた。
短歌を詠む人からの献本だった。
彼女はとうとうこのように美しい歌集を編んだのだ…。
湿疹と蕁麻疹と蜂窩織炎で傷んだ手で、おそるおそる初々しいページを開く。
まっさきに「あとがき」を読み、「著者略歴」へと移った時、思わず涙があふれた。
何の涙なのか分からない。急に、何か一途なものへの想いがあふれてきたのだった。
その歌集の重みは、彼女がなしとげたことの重みであるように思えた。
その歌集の清らかさは、彼女の歌への祈りの清らかさであるように思えた。
彼女は歌人となったのだ…そう思った。
6月3日の薔薇(クローネンブルグ 人魚姫の公園で)