enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2015.3.6

 2月は楽しみにしていた梅の開花も楽しまずに過ぎた。
 とうとう3月に入った。
 今春退職する友や手術を終えた友、そして、どうしているかなと思い浮かべた友に小さなカードを出したあと、西に向かった。
 相模湾沿いに電車で走れば富戸の春の海に行き着く。いつも心が躍る。
 富戸の坂は春の眠りのなかにあるように静かだった。前日の雨で空気も足もともひんやりと湿っている。初めの急な坂を登りきると息があがっていた。
 ここに一本の白樺が青い空に細身の体をのばしている。
 この白樺の姿は、そのまま私の中のグリーン・ゲイブルスの世界につながっていく。
 60代になっても、ライラックやラヴェンダー、オーガンディーやモスリン、ギンガムといった見知らぬ言葉に憧れた頃の、広々とした生き生きとした自由な世界がよみがえるのだ。
 富戸では、入院中の友人と一日に何度もショートメールを送り合った。初めての操作に手間取りながらも、何と便利な時代になったのだと思った。
 しんとした独りきりの空間で、他愛のないことをメールして、海と森を眺めて、鳥の声を聞いて、たっぷり眠った。

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富戸の坂道の白樺

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富戸の坂道の椿

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富戸の坂道のジョウビタキ(枝の上で、コクン、コクンとお辞儀のような仕草を繰り返していた。)

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利島と新島