冬野菜…若い頃には見向きもしなかった白菜や葱。
その地味な魅力に気がついたのは、次兄の家庭菜園で収穫された白菜や葱を食べるようになってからだ。
今冬も抱えるほどの大きな白菜が、次々と冷蔵庫の野菜室に運び込まれた。
『漬物は作らないのに…どうしよう…こんなにたくさん…』
毎日少しずつ食べる。食べ続ける。
それでも嵩張ったままだった白菜の塊が、あるピーク(?)を過ぎると目に見えて小さくなっていった。
そんなことを数回、繰り返した。
そして今朝、とうとう最後の白菜の芯までたどり着いた。
これで最後の最後!
顕れたのは、”招き猫”の彫り物を思わせる白い立体だった。
今冬も冬野菜を食べ尽くした!という達成感の形。
その達成感も束の間、次兄から電話があった。
「葱、もらってくれる?」
白菜の芯が招いたのは、葱だったのか。
また、焼いたり煮たり、一抱えもある葱を食べ尽くす日々が始まる。