enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

”赤い靴”

 10日に届いた朝刊・夕刊の一面topには、それぞれ「森友交渉 新文書20件」・「黒田日銀総裁 続投へ」のタイトルが踊っていた。朝夕の紙面の背後には、ずぶずぶと引き込まれてゆく泥沼が広がっているように思えた。
 
 そして、それらの記事とはかけ離れたこと…アンデルセンの童話『赤い靴』のことを思い出した。記事から漂う気配には、子どもの頃、初めて『赤い靴』を読んだ時に感じた”空恐ろしさ”と似たようなものがあったからだと思う。
 
 前理財局長(現国税庁長官)も、現日銀総裁も現首相も、それぞれの”赤い靴”をはいているように見える。
 そして、「長い白いころもを着た天使」は、彼らに「おどれるだけおどるのだ! おまえのすきなように。もっと、もっと、おどっていけ!」と言っているように見える。
 彼らの振る舞いが、”赤い靴”に魅せられた少女カーレンの振る舞いに重なってくる。
 
 「それでもまだカーレンは、おどりつづけました。いや、おどらずにはいられませんでした。」

 それでも…いつか彼らにも”赤い靴”を脱ぐ時が訪れる。
 その時、ずぶずぶとした泥沼から、どのような”異次元”の兆候が浮かびあがってくるのだろう。それはやはり”空恐ろしい”ものなのではないだろうか。

イメージ 1
「赤い靴」の少女と天使(『アンデルセン童話集 絵のない絵本』 昭和28年 創元社)