enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

『9条入門』と5月の野薔薇

「 戦争は世界を破壊する。
  戦争は権力を再分配する。
  戦争は半永久的に社会を変え、制度を変える。
  戦争は生き残った者たちの意識を深く、長く変える
                                  ジョン・ダワー『敗北を抱きしめて』  」

 『9条入門』(加藤典洋 2019年 創元社)のエピグラフを読んだあとのことだった。
 35歳の国会議員が発した空虚な言葉を知ったのは。

「 戦争しないと どうしようもなくないですか 」

 何よりも驚く…その報道で映し出された国会議員の眼が、言葉以上に空虚だったことに。
 空虚であり、空虚に据わっている眼…それが恐ろしかった。

 72年が経過するなかで、空虚な眼が戦争という手段を夢見るようになっている。
 彼のような空虚な眼が、再び、世界の破壊を夢見ている。
 
 もう、誰も、敗北を抱きしめてなどいない2019年5月。
 被害者でも加害者でもないような空虚な眼で、戦争を夢見ている2019年5月。

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『9条入門』(加藤典洋 2019年 創元社)のエピローグ

2019年5月14日の雨上がりの野薔薇
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