静かな海面に一瞬、すっとした浪の稜線が生まれる。
そのまま滑るように岸へと進んでゆく。
浪は、じきに白い爪をたてて浜辺に到達する。
砂浜の斜面で行き場を失った浪が虚しそうにはじけ散る。
そしてふたたび、自らの形跡を消し去るように、なめらかな水の被膜となって海へと戻っていくのだ。確かに何言かをつぶやきながら。
9月14日の海 (一)
9月14日の海 (二)
日々、何か胸に滓のようなものが溜まって息苦しくなったなら、海に出かければいい。
寄せてはかえす波が砂浜をなめらかに洗っている。
ささやくような波のつぶやき。
いつのまにか、胸のなかに海が入り込んでくる。