東京は初雪。平塚はみぞれ。立冬から二週間余り…季節がはっきりと移ってしまった。
昼を過ぎて、みぞれが細かな雨となった。
急に海の景色が見たくなった。手袋をして外に出る。
大通りで出逢った人は、二人とも美しい傘をさしていた。
どちらも、少しだけ風変わりな花の絵柄だった。
歩道の先々にスズメやハクセキレイの姿。みな、エサを探すのに夢中のように見える。
海に着く。風で青海波模様になった砂浜。その小さな砂の波模様ごとに、白い雪が淡く乗っている。
緑灰色の海の上には、白いもやがフワフワとたゆたっていた。
波消しブロックも波浪観測塔も、その姿の半ばをやわらかく隠し、時に消え入りそうだった。
波は靜かに寄せている。海の上のもやのゆっくりとした動きに見とれる。
じきに雨粒が大きくなった。
帰ろうとして初めて、ずいぶんと冷え切ってしまったことに気がつく。
雨で手袋が濡れ、カメラをもつ指はかじかんでいた。
急にさびしい気持ちになる。浜辺にいるのは私一人だけだった。
帰り道を早足で歩いたからだろうか。家の近くで角を曲がろうとして、足元がフワフワと浮ついた。
自分がまっすぐに歩けていないことに、ちょっと驚く。
密閉された部屋の暖かさに息をつき、遅い昼食をとる。
そして、あの海の白いもやのような、フワフワとしたふらつきも治った。
11月の初雪(みぞれ)の海
11月の初雪の高麗山