私にとって、空を見上げて心が羽ばたくのは、やはり一人旅だ。
空や風や光が語りかけてくるのは、やはり一人旅なのだ。
それでも…一人旅ではなくても…旅の空を見上げずにはいられない。
14日から20日まで、一人旅ではない旅をした。
昨年3月とほぼ重なるように、八重山の島々を巡った。
そして、八重山の空を見上げた。
昼間の雨、未明の雷雨。
晴れては翳り、曇っては光が戻る。
色とりどりの蝶が慌しく飛び交う小道。
小暗い林の奥から響いてくるのは、ヒュルヒュルヒュルと細く吹き下ろされる声。
憧れていたアカショウビンの不思議な啼き声なのだった。
海の色はブルーとエメラルドが重なり合う。
サンゴ礁の縁には白い波立ち。
強い雨のあと、山の水が、茶色の帯のようにくっきりと川の上を流れてゆく。
帰りの飛行機では嬉しいアナウンスもあった。
窓を覗き込むと、雲海に浮かぶ富士山…白く青く、天上にぬきんでた尊い姿。
ただ見とれるばかりだった。