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私の第三十四夜をつづります。

再び不動平へ(1)

 昨年の今頃、下吉沢の不動明王像の足跡を追いかけていた。”不動平”と”大光寺跡”の場所を探して、下吉沢の山の中を何度も歩いた。そして、12世紀の不動明王像の数奇な足取りを、自分なりに夢みることができた。
 ただ一つ、見ることができずに終わった場所があった。大光寺跡に立つという地蔵尊の石碑の場所だ。その位置は、地図上で確かめてある。あとはその地を自分の足で確かめるだけだ。
 ずっと気になっていた大光寺跡の地蔵尊…昨日、ようやくその場所に向かった。
 夢のようだった。そこには、草に隠れるように、苔むす地蔵尊が佇んでいた。私がいだく”お地蔵さん”のイメージとはかけ離れた姿。来迎した地蔵菩薩様。そのような佇み方に感じられた。
 ひっそりした空間に心が満たされた。地蔵尊の苔を払ってよいものかどうか迷う。左眼を覆っていた苔を少しぬぐわせていただいた。
 その場所からは、巡礼のような心持ちで山道を登る。ヤマブキが香った。昨年、自分なりに辿りついた”不動平推定地”も訪れた。山上の山神社と山王社の石祠もたずねた。はらはらと春の空から舞い降りる小さな花びらとともに休んだ。霧降滝へと降りながら、一年の間に荒れた沢の姿も目にした。吉沢池のそばには、忘れ去られたような小さな花園もあった。
 
下吉沢の春(4月17日) 
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ヤマブキ
 
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 グレコマ(セイヨウカキトオシ)
 
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          オドリコソウ
 
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