enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2014.5.13

 13日、雨上がりの午後、国会議事堂前に着いた。
 ”国会包囲 人間の鎖”に参加する・・・60代の私にもできることはこのくらいなのだ。
 100年前の1914年8月、日本がドイツに宣戦布告し、世界大戦に加わった歴史を思う。
 そして2014年の今、私たちの国が、武力紛争の当事国となる道筋が、着々と用意されつつある…そんな不安を感じて出かけたのだった。
 見知らぬ人と手をつなぎ、”人間の鎖”で国会議事堂を囲む。
 主権者は私たちだと思う。
 見あげる空の切れ間から、時々、初夏の日差しが差し込む。
 国会議事堂を見学した学生さんたちの長い列が、私たちの前を黙々と通り過ぎていった。
 彼らが大人になった頃の日本の空は何色だろう。
  
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 ”人間の鎖”がつながったあと、昼食をとる。
 日が伸びて、夕暮れまで、まだ時間があった。誘われて駒込の庭園に寄ってみる。美しい薔薇の季節なのだ。
 薔薇の花びらの上に、午前中の雨のしずくが残って、玉のようにことごとく光っていた。
 薔薇園のまぶしいほどの色彩とは対照的な、鼠色の空の下にいた”国家側の人々”のことを思い出す。
 彼らは、国会議事堂を守るような位置に並んでいた。そして、道路の向こうから、単眼鏡を目に当て、”人間の鎖”の参加者を見ていた。何か、手帳に書き留めてもいた。カメラで写真さえ撮っていた。どうあれ、それが彼らの仕事なのだ。そして、彼らも私たちと同じく国民の一人であり、主権者の一人なのだった。ただ、立ち位置が違った。
 
 
 夜、携帯で撮った薔薇の花の写真を眺める。
 「連帯」を象徴するような薔薇の花・・・1本の赤い薔薇の花を掲げ、「連帯」の全国大会に向かうワレサ委員長の姿を思い出す。薔薇の花の似合う男…今、そう思う。
 そして、海外に売りさばかれる武器や原発の、何と野暮に見えることだろう…そう思うのだ。