enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2014.7.10

 クチナシの花の薫りには、世界の時間の秘密が隠されている。そんなふうに想像する。
 日常の背後に、現在とは別の異なる時間が広がっていることを、その薫りでそっと知らせてくれているのではないか。そんな気がするのだ。
 去年、やっと出逢えた道端のクチナシは、もう今年は見当たらなかった。がっかりした。
 散歩をしながら見かけるクチナシは、みな庭の奥にあって、花の薫りに近づくことはできなかった。
 6日になって、茅ヶ崎駅の歩道橋の下に咲き終わろうとするクチナシを見かけた。だれも見向きもしない場所に、黄色くしおれながら咲いていた。それでも、そばに近づくと、ほのかに薫った。
 曖昧な湿度と光。世界の背後の時間へ誘うような秘密のささやき。
 毎年、この季節がなつかしい。
 
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7月6日に見かけたオオシロカラトンボ?(茅ケ崎の人通りの多い歩道でじっと動かない。踏みつぶされてしまうのだろうか。)