2015年という年の数字にまだ慣れたともいえないのに、もうカレンダーの3分の1が消えていった。私が”時間の流れ”をイメージする時に思い出すのは、子どもの頃に見た「テレビ名画座」で放映された『オルフェ』の映像だ。
ジャン・マレーが大きな鏡のなかにすっと入り込み、鏡のなかの空間を風のように進んでゆくシーン。子どもの私には時間や空間の観念はなく、”存在”が自由に通り抜ける世界があることに強い憧れを感じた。今でも、空を見上げ、風に流れる雲を見て心が羽ばたく…そういう時、私は大昔に見たオルフェのように、この世界を通り抜けたような気持ちになっているのだと思う。(この強い憧れはオルフェが入り込んだ世界への憧れだと思う。子どもの私はアメリカのTVドラマ『スーパーマン』も見ていた。飛ぶように空間を移動すること自体に憧れたわけではなかった。)
私が外に出て風に吹かれたくなるのは、オルフェのように見知らぬ世界へ通り抜けたいからなのだろうか…。
浜辺の祭祀跡