enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2016.3.31

 三月も今日限り…三月が名残惜しい気がして、とにかく外に出ようと思った。図書館は休みだし、海岸、高麗山、下吉沢…と、私の足が向かう先はとても限られている。
 ふと、鎌倉の町中の知らない道を歩いてみようと思ついた。鎌倉の地図を取り出して、急ごしらえのルートを頭に描いてから電車に乗った。
 平日の鎌倉駅は朝からごった返していた。整備が終わったばかりの段葛のようすが気になったけれど、人通りの少ない大町方面に向かった。地図をかざして陽射しをよけたり、日蔭を選んだりした。といって、暑いほどではないのだ。
 連なる住宅の裏手には山が迫っている。ウグイスが絹糸のように細く艶やかに囀る。すっかりそんな季節になった。そして、冬がすっかり遠く去ってしまったことを名残惜しく感じた(寒がりのくせに…)
 
 大町からは、横須賀線を横切り、材木座方面に向かう。思わず、かなりの時間を過ごした。滑川を越え、六地蔵にたどり着いたところで、急に図書館に寄ってみようと思った。ここでも、郷土史のコーナーでつい時間をとってしまった。図書館を出て時刻を確かめる。ここから駅方面に戻り、化粧坂~源氏山~長谷と遠回りする予定だった。お昼も食べず、水すら飲んでいないのに、気持ちよく歩いてきたし、時間は何とでもなる。それでも、今日はやめておこうと思い直した。いつもの自分とは違う歩き方がしたくなった。そのまま、直接に長谷へと向かった。なぜか、良い気持ちだった。道行く人もみなのんびりと歩いていた。
 長谷では標高30m近い高みから、けむるような相模湾を望んだ。ヨットが見えた。聞き慣れない鳥の声が頭上で響くけれど、木の枝が重なり合って、その姿をはっきり捉えることはできなかった。
 鎌倉の町中は、ちょっと道を外れると、親和的な自然へと導かれてゆくようだ。やはり、とにかく外に出て、とにかく歩くに如くはない…そう思った。

材木座:由比若宮(元八幡)の境内のサクラ
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長谷:甘縄神明宮の境内から望む相模湾由比ヶ浜方面)
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