enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2016.10.20

 3月、王ヶ頭から雪を頂く山々の連環を眼にした。
 18日、その王ヶ頭に再び出かけ、同じ友人たちとわずかな時間を過ごした。
 
 秋の王ヶ頭の落葉松は黄葉が始まったばかりだった。
 ナナカマドの実は紅い鈴のようだった。
 道の草紅葉は露に湿っていた。
 
 王ヶ頭を囲む山々は湧き上がる雲に隠れていた。
 石像たちは不思議な微笑みのままに雲海を見守っていた。 
 
 月も星も太陽も、一瞬、その姿をあらわしては、雲海のなかに沈んでいった。
 夜の牧場では鹿たちが草を食み、懐中電灯に照らされると、闇の中にハート型の白い模様が浮き上がるのだった。
 夜の露天風呂も霧に囲まれ、湯水は白い闇と対峙していた。

 帰り道を辿るころ、天空のかなたに槍ヶ岳が姿を見せた。
 なつかしい人にようやく出逢ったように心が躍った。

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10月の林

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10月の草紅葉

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王ヶ頭に立つ石像

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夕方の八ヶ岳連峰(10月18日)

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夜の「塩くれ場」から見る月

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朝の太陽(10月19日)

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朝の月(10月19日)