早起きをした。
5時…日の出の時間だ。
いつものように窓のカーテンを開けてゆく。
いつもの空…とは違った空だった。
薄い青灰色の空に、白い顔が浮かんでいる。
南西の空に残るなつかしい顔。意外なほどの明るさに胸が躍った。
カメラを持ってベランダに出る。
夜明けのひんやりした空気と白々とした月。
早起きした甲斐のある一日だった。
朝の電車は混み合っていなかった。
雑居房のような眼科待合室で過ごす時間も、いつもよりは短いものになった。
帰りの電車では、線路沿いの丘陵を彩る桜色の雲が、次から次へと流れていくようすを追いかけた。
帰ってから、今朝の白い月の月齢を調べた。「17.36、居待月」とあった。
今朝のあの白い月を、熊本の人々も眼にしただろうか。
夜明けの西の空にとどまる月(4月14日)
210 有り明の 月はながめじ 今よりは もの思ふつまと なりまさりけり 相模
(『相模集全釈』から)