enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2017.8.6

 毎年、8月という季節に経験することがある。
 それは、日盛りの道を歩いている時、白い光と、その光を切り取った穴のような影とのコントラストのなかで、一瞬、”時”が静止したように感じることだ。
 それは、その瞬間、世界が真っ白な、真空の空間として止まったような錯覚、あるいは、自分の個体の記憶のなかで、人々の歴史的記憶が系統発生を繰り返している…そのような錯誤の感覚だ。
 
 今年の8月は薄日の射す日が続いているからなのか、その目眩に似た瞬間はまだ訪れていない。
 そして、72年目の「原爆の日」の今朝、カレンダーを見ると明日は”立秋”。
 いつもの目眩に似た瞬間とは、暦のうえでは、こうした季節に訪れるものなのだな、と初めて自覚した。

8月5日の夕方の空
イメージ 1