何年ぶりだろう…映画館で観たい映画があった。
『ペンタゴン・ペーパーズ』。
タイムリーなテーマというだけでなく、楽しませ、考えさせ、励ましてくれる映画だった。
慌しく追いかける字幕の中には印象的な文言も多くあった。
その一つ…「報道が仕えるべきは国民である。統治者ではない。」
(アメリカ合衆国憲法修正第1条のなかで”報道の自由”が謳われていることも今回初めて知った。)
1970年代のワシントン・ポスト紙の印刷現場への興味もかき立てられた。
大時代で垢抜けない輪転機の動き。
印刷された新聞を流し運ぶ柱状の機械…初めて見る機械?で仕組みが全く分からない…が昇り竜のように何本も天井に向かって這い登ってゆく光景。まるで”油屋”のようなカオスの空間に入り込んでしまう(印刷現場でうごめく人々が異世界で働く”釜爺”たちのようにも見えた)。
観終わって日本の現実に引き戻される。
夜になってTVの報道番組が伝える現実は、ハリウッド映画のようなカタルシスをもたらさない。
重く、深刻な霧がたちこめたままだ。
仕えるべきは国民であり、統治者ではない。
民主主義にとって極めて危険なのは、事実を伝えようとしない、事実が伝えられていない、ということなのだと思った。