小さな後ろ姿を見つめてしまうことがある。
ご主人が作ってくれた台車に萎えた後ろ足を預けて、屈託なく走り回る子犬。
スーパーのお菓子売り場の棚の前で、じっと見入ったままの子ども。
真剣に、生真面目にゆっくりゆっくり歩くおばあさん。
旅のなかで、一瞬、何かが垣間見えたような気がすることがある。そこに居ない誰かの、日常の何気ない声が聴こえたような…。
その一瞬には、人と係わりない場で咲くスミレやクチナシと違う、人のあたたかさが見えるのだと思う。毎日を元気に生きている誰かのあたたかさだろうか。