enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

再び発掘調査現場へ。

 

19日、友人からの電話で、諏訪前B遺跡の発掘調査が東側へと進んでいることを知った。
梅雨明けとともに胃の不調がぶり返していたけれども、夕方を待って現場をめざした。 

諏訪前B遺跡では、まさに作業が終わったところだった。
確かに、東側部分の新たな現場がすぐ目の前に広がっていた。前回と同じように、フェンス越しに目を凝らす。
乾ききった大きな穴がいくつか、ポッカリと口を開けて並んでいる。今にも縁からサラサラと崩れそうな掘り方…それらは掘立柱建物の柱穴のようにも見えるけれど、並び方が少しずれているようでもあった。
そして、現段階では、このあたりで東へと延長してゆくはずの道路状遺構は、どうも出ていないようなのだった。

急いで、作業を終えた調査員の方々のあとを追いかけてみた。
皆さん、この暑さのなかで一日の作業を終えたばかりで、ホッとされているところなのに…と思ったけれど、思い切って遠くからお辞儀を繰り返す。
すると、振り向いてくださった方がいた。そして、こちらに向かって近づいて来られる。日傘を閉じて改めてご挨拶をし、ドギマギしながらも、頭に浮かぶ質問をそのままぶつけてしまった。

「あの穴は掘立柱建物ですか?」
「道路は出てきそうですか?」

担当者の方は、私の前のめりの質問に丁寧に答えてくださった。本当にありがたく嬉しかった。

教えていただいた事柄のなかには、『なぜ、ここでそのようなものが?』と、驚き、当惑するようなものがあった。そのことで、ますます『はてな?』の度合いが深まってしまうのだった。

興奮した私のそばを、ほかの調査員の方々が次々と帰ってゆくことに気がついた。慌てて、貴重な時間を割いてくださった担当者の方にお礼を述べる。砂漠のような現場の調査はまだ、8月半ばまで続くようだった。安全に終わりますように。来夏、発表会で報告されますように。心の中でそう願った。


駅までの帰り道…現場を覗いた興奮を鎮めるようにゆっくりゆっくり歩く。5時を過ぎていた。海からの風が届いて昼間の熱気を吹き払ってゆくようだった。その風は、新たに加わった事実に困惑し混乱した私の頭も冷やしてゆく。
あんまり気持ちが良くて、こんな時間がいつまでも続くと良いのにな、と思わないではいられなかった。

 

諏訪前B遺跡の発掘調査現場(2021年7月19日)

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