enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

87.5

 
落葉松の林のなか            
若く強い足音が近づいてくる
夏の手前のゆるんだ空気を震わせイメージ 1
私を追い抜こうと
 
一瞬                          
木漏れ陽をさえぎり
迷彩色の少年は通り過ぎる
 
落葉松の林のなか
その確固とした幼い迷彩服は
樹々たちのまどろみを当惑させる
 
かつて はるか
ヴェトナムの濃密な樹林におびえた少年は
今 鳥影を求めて進む
 
樹々の呼吸を切り裂きながら