enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2011.10

 
音も無く 岸にたゆたう廃舟に 時の宴の風動く  2011.10.04 京都 
 
旅空の 雲間にあらわれ隠る月 うつつとも夢とも仰ぐ 虹の駅  2011.10.06 奈良 
 
沈む陽を 十四の月と見送れば 足もとにひた寄せる波 ひそめいて砂と語らう  2011.10.10 袖ヶ浜
 
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2011.10.19
 
       歌ってはならない
 
三陸の人が「流れていた」と語った
「眼の前を人々が流れていた」と
「わたしはただ見るだけでどうすることもできなかった」と語ったのだ
 
友人は私に問いかける
「流れていた・・・そう語ったのはなぜだろうか」と
「流されていった」のではないことにこだわった
 
あの時
「流れていた人」
「ただただ見るしかなかった人」
 
友人も私も言葉よりさらに無力なのだ
 
だから
歌ってはならない
流れてはならない
 
 
 
 
2011.10.26イメージ 2
             
       オレンジ色の孤独           
 
今日の夕焼けが終わってゆくのに
かがり火は
あたたかく さびしく ともっている
 
明日もまた 新しい空を迎えるのだと
日々をくりかえし生きるのだと
 
小さなかがり火が胸の奥にともっている
 
広すぎる空のなかに 
儚すぎる人のなかに
オレンジ色の孤独がともっている