enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2012.3.19・20・26・31

2012.3.19
誘われるように浜辺へ向かった。
鉛釉の雲と光の粒子が水平線を引き、青い大島の島影が浮かぶ。
砂丘の稜線に残る捨て猫の小さな足跡を追う。
彼岸の海は何も無かったように薄水色に輝きながら、浜に打ちつける波音は高く、繰り返し何事かを吐き出そうとしているようだ。
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2012.3.20 春分の夕日
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2012.3.26
 昔、『青春の光と影』という映画を観た。イメージ 3
心に残ったのは、映像ではなく、飾り気の無い
詩と歌声のほうだった。当時、レコードを繰り
返し何度も聴いた。 
 「雲には光と影の両側があるのに でも私は
何もわかってはいなかった」・・・そのような詩
だと思っていた。
 『これからの人生にどのような光と影があるのだろう』・・・・私もそのような漠然とした不安を抱きながら過ごしていたのだ。
 そこから、はるか遠くまで歩き続けてきた今、英語で歌われた詩の本当の意味はわからないままだが、見上げる雲は光と影を宿し、形をとどめることなく、ただ美しい。
 
 
2012.3.31
 
 南風だ
 太平洋から全速力で飛んで来た
 
 朝のカーテンはパタパタと舞い上がり
 街の樹々は声を立てて身をよじらせる
 
 遠い海の上で生まれたお伽話
 ふり撒かれた雨が記憶の水脈に流れ込む
 
 思いきり空をかき回しながら
 南風は全速力で駆け抜けて行く