司祭者は語る。
その白くやわらかな手から「今、矢が放たれた」と。
祝祭に捧げる魔物に向かって「次々と矢は放たれた」と。
人々は手を休めずに耳を傾けている。
その労働の果てに祝祭は用意されるべきだったから。
しかし、人々は気づき始める。
その司祭者の言葉が予祝儀礼であったことを。
人々がその祝祭の宴に加わる予定もないだろうことを。
そして手を休めずに考え始める。
祝祭を自分の手に取り戻さなくてはならないと。
この海に、この山に、この野に、祝祭を取り戻すことができるのだと。