enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2014.4.14

 海に向かう大通りで、貝探しから帰ってきた知人に出会った。手を振ると、自転車を留めてくれた。今日の成果を尋ねると、最近、貝がほとんど見つからないと言う。貝が拾えなかったので、綺麗な石を探してきたらしい。見せてもらった石は白くて、端に緑色の部分が混じっていた。小さな石をつまんだ指に、細かな海砂がついていた。海の砂が似合う指のように感じた。いつか、翡翠を探しに糸魚川にも行ってみたいとも言う。しばらくぶりなので、長い立ち話になった。
 「そうそう、ずっと渡そうと思って持ち歩いていたの。今日逢えてよかった。」と手渡されたのは、鳥・樹・花・鹿がシンメトリに配された模様のある「しおりルーペ」だった。正倉院文様にも似た奈良の歴史の意匠が、羽根のように手のひらのなかにおさまる。とても嬉しい。私には何もあげるものが無かった。今度、私からは採集した「ククリボラ」を手渡そうと思った。
 
4月14日の海
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防砂柵から漏れるかすかな光
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