夕方、外に出る。しばらく歩くと、なぜか晴れ上がったような気がした。心ではなくて、体が晴れたように感じたのだ。急に道を引き返す。自分でも驚くような回れ右だった。思うより先に足が海に向かってしまった。
久しぶりの浜辺。
大島も富士山も静かな姿のまま。
ショベルカーが、防砂柵をまたいで動いている。どこか遠い世界のような動き。
波に洗われた貝や小石も静かな位置を守っている。
太陽は西の空いっぱいに、裸電球のような光を拡散している。
長い間どろどろと苦しかった胃のあたりが晴れ上がったのは、この鈍い落日の光が体に差し込んだからだろうか…そんな不思議な思いのする、遠い世界のような落日の光だった。
海と落日
波と貝
風と鳥の跡
月と教会