enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2014.4.26

 若葉の季節になって、世の中は連休を迎えた。
 私が出かけるところと言えば、海か図書館ぐらい…と思う。
 いつ頃だったろうか。何にも興味をもてなくなった時期があった。今も、実際に出かける機会が増えたわけではないけれど、見たいものや出かけたいところがいくつか数えられるようになった。それだけで嬉しかったりする。
 そして、ぼんやりと午後を迎える。
 そうだ、浜辺暮らしだった猫も来ているかもしれない、と海へ向かう。
 連休初日のにぎやかな浜辺を見わたす。
 海と空の移ろいを見つめていた猫の姿はなかった。 
 波打ち際では、七羽のカラスたちが、楽しそうな家族連れに、それとなくまぎれている。波にも人にも馴れているようだ。
 しばらく波打ち際を行ったり来たりした。青い石を見つけた。乾いているのに、トルコ石のように青く見える。子どもの頃、川底で見つけた青い石を宝物のように持ち帰った。そして楽しみに取り出してみると、青かった石がすでに輝きを失っていた。そんなことを思い出す。
 帰り道、身体が鉛のように重くなっていた。初夏の陽ざしを浴び過ぎたようだ。
 
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海の色のような、空の色のような。